秋の音
2020-11-02


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年を重ねるにつれ、季節の移り変わりに新鮮な発見と喜びを感じるようになった。それは、誰もが嫌でも見聞きする破壊的な強風が吹き荒れる嵐のようなフォルテシモではなく、黄色く色づいた一枚の葉が梢から離れてはらりと空中を舞っていくようなピアニシモの時もある。
 秋晴れの澄み渡った青い空に赤く染まった紅葉や大きな落葉樹の樹々の黄葉した葉がそよ風にやさしく揺れている様子を見ているのはなんとも心地よい。

 子供の頃、ピアノを習っていた。親の意向で習わされていたわけではなく、私自身ピアノを弾くのが好きだった。でも、振り返って今思うと、あの頃の(強弱記号の)p(ピアノ)はただ「小さく」で、f(フォルテ)は「強く、大きく」だけだった。

 最近、また時おり鍵盤に触れる機会があると、一音一音がこんなにも色々な表情をもっていたのかと驚かされている。
 p(ピアノ)には、優しさもあるけれど悲しみや切なさもあり、子供たちの楽しい内緒話もあり、恋人たちの甘いささやきもあり、老人が静かに幸せな昔の日々を回想する時間もあるかもしれない。
 f(フォルテ)は、激情にかられた暗い怒りや情念を表すこともできるし、逆に全身がはじけてしまいそうなほどの喜びと満面の笑顔、勇気や希望を伝えることもできる。

 耳をすませば、今日はどんな秋の音色が聞こえてくるだろうか。
[音楽]
[自然]

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